横田卓馬先生の新作「シューダン!」ちょっと半端じゃない

今週のジャンプ新連載でついにお待ちかねの作品がやってまいりました。
横田卓馬先生の新作サッカーマンガ「シューダン!」です。
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いやー前作「背すじをピン!と」の完結からあまりにも早い帰還でさすが横田先生マンガを愛しマンガに愛された男・・・って
オイオイ、ちょっと待っておくれ。
歴戦のジャンプ読者の胸に深く刻まれている言葉の一つに
「ジャンプのサッカーマンガは短命に終わる」
というものがあります。
それこそ特大の金字塔としてキャプテン翼という作品があるわけですが、少なくとも自分が読み始めてからのジャンプにおいて、満足いく形で完結を迎えたサッカーマンガはなかなか記憶にありません。
そこにあえて挑んでいくのか、横田先生。
「背すじをピン!と」が見事な名作だったわけだし、横田先生のことは非常に信頼しているけど、でも前作の終了からこの短いスパンでしかもサッカーマンガってことでさすがに読む前は不安がよぎったわけですよ。
いやいや、でも万が一のことも・・・
今週はそんな気持ちで心してジャンプを開いたのです。
で、読後。
前回の記事で、

マンガの第一話を読んだ瞬間に有無を言わせずにただただ圧倒されるような作品に出会えることって稀です。
高校生の頃からずーっと読み続けているジャンプであっても、そこまでの作品はほぼないといっていいかもしれません。

などと書いたばかりだったんですが。

「シューダン!」圧巻の第一話でした。
ちょっとでも疑って横田先生マジですみませんでした。
やられたよマジかよなんだこりゃすげえや超面白い
いやーなにこれクッソ面白い。
なんでこんなマンガ描けるの?
恐ろしい。
横田卓馬という才能が本当に恐ろしい。
この第一話は事件ですよ。

シューダン!なんでこんなに面白いんだナニコレ

ここまでべた褒めしてしまうと、果たしてどれだけ強烈な個性を放つサッカーマンガだったのかと思われるかもしれませんが、これが驚くべきことにものすごく普通の話。
あらすじをさらっと書くとこんな感じ。
  • 舞台は静岡のノンガチ勢サッカー少年団
  • 地元のいろんな小学校が集まっていて中の下くらいの強さ
  • 進級したての新学期、なんだかサッカーのうまそうな女の子が入団
  • 一緒にミニゲームしたらかなり燃えて楽しかった
これだけです。
天下の少年ジャンプの巻頭カラーで54ページかけて、これだけです。
なのにめちゃくちゃ面白いんだ。
今作も相変わらずの地味さではあるんですが、それでもかなりクッキリと主要な登場人物たちの印象が残るのに驚きます。
たしかにある程度突出した能力を持ったキャラも出てきますが「あのキック力は大人レベル(プロではなく)」「あいつは簡単にはドリブルで抜けない」みたいなレベル。
極端な話テニスの試合中に分身したり空間を切り取ったりすることはないわけです(あれはまた別の意味ですごいマンガですが)
そうそう、横田マンガには「○○キャラ」みたいなわかりやすく記号化されたキャラがいないんですよね。
例えば今作でもとりわけ目立つキャラであるところのサッカー少女七瀬晶ちゃんなんかはその最たるもの。
この子すごい可愛いと思ったんですけど、その理由をうまく説明できないというか、単に可愛いというよりは好感度が高いんですよ。
男子からしばらく洗っていないシューズとすねあてを借りても平気な顔をしていたりとか。
試合前に髪を結ぶシーンとか(しかもここで使うゴムのキャラが背すピンで出てきた「ブサパンダ」なのがまたずるい)
ヘディングを決めた後、立ち上がるのにわざと時間をかけて、ソウシが来るのを待ってたり。
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上目づかいあざとい
その一方でミニゲームではソウシ相手に王様プレーしたりして「この生意気な女子めー」みたいな感じも出していて。
こういう子が気になっちゃうじゃないですか小学生男子は(もう20年位前のことだからわかんないけど)
つまるところ気づいたら小学生男子目線で「こんな子が同級生にいたらなー」って思わされてたんですよ。
あーだからやっぱり本質は背すピンと変わっていないんだな。
どこまでも「登場人物そのものを描く」作品であるという。
何か大きなストーリーありきではないんですけど、登場人物がちゃんと生きていて、リアリティがあるからこそ面白い。
誰かが日本代表を目指す物語、ではなく。
とあるチームが全国制覇を成し遂げるまでの物語、というわけでもなく。
これこれこういう子たちが静岡のそれなりな強さの少年団にいて、そこにちょっとうまい女の子が入ってきたらどうなるかな?っていうのを恐ろしく丁寧に描いているだけ。
その結果として彼らがしっかりとそこに存在しているから、素晴らしく地に足の着いた物語になっている。
だから「いいなー楽しそうだなー」みたいな感情を呼び起こさせてくれる地続き感があるんだと思います。
そういえばこの地続き感って、映画「この世界の片隅に」を語る際にもよく使われたキーワード。
考えてみると横田先生と片渕監督のスタンスって近いのかもしれません。
あの映画も、すずさんがそこに存在するように描くことに全力が注がれた作品でした。
うん、自分が好きになるのも納得。

「キャラが動き出す」どころか

よく言われる「キャラクターが作者の手を離れて勝手に動き出す」ってやつあるじゃないですか。
このパターンに入ったマンガってやっぱり面白いんですが。
おそらくなんですけど、横田先生はこの状態がデフォルトでマンガを描いているんじゃないかと思っていて。
キャラクターたちが活き活きと動いているさまを、いかに魅力的に演出するかに全力が注がれているのが横田先生のマンガなんじゃないかなと。
そんなの絶対面白いじゃないですか。
でもこれって登場人物たちが全員ちゃんと作者自身の中に生きているからできることであって、「こういう話を描こう」と思ってできることじゃないと思うんですよ。
基本的に作者は物語の神です。
大きなストーリーがあるマンガであれば、何か目指すものがあってそこに向けてキャラクターたちを動かすと思うんです。
そうではなく、あくまでの神の「視点」だけを使って、なんだか面白おかしく生きている人物たちの特に面白そうな部分をおいしく演出する。
作者でありながら物語に対してめちゃくちゃ客観的な立ち位置にいる。
そういう意味では「サッカー」というテーマ、実は横田先生的にもすごく相性がいいのでは?
チームスポーツだという点もそうですし、サッカーって他のスポーツ以上に大人数が同時に動き回るスポーツなので、登場人物に対して客観的な位置にいるのって作者として強いのではなかろうか。
これは前作以上に横田先生の手腕が全力で活かせる作品になってくるかもしれません。
と、ここまで書いてから下のインタビューを読んだところ、横田先生が背すピンに関して「全員が主人公」と語っていたり、キャラクター主導でストーリーを決めたいというお話があったりして、もう間違いないなと思いました。
というかここまでに書いたことの答えがほとんど以下のインタビューで語られています。うへえ。
「背すじをピン!と ~鹿高競技ダンス部へようこそ~」完結記念 横田卓馬先生スペシャルインタビュー①
「背すじをピン!と ~鹿高競技ダンス部へようこそ~」完結記念 横田卓馬先生スペシャルインタビュー②
「背すじをピン!と ~鹿高競技ダンス部へようこそ~」完結記念 横田卓馬先生スペシャルインタビュー③
※以下インタビューより抜粋

横:えー、ジャンプの…というか、漫画全体的に言えるのですが、主人公が活躍しなきゃだめだみたいな風潮があるじゃないですか。

小:そりゃ、その物語の主役ですからね笑

横:もちろん「主人公だから活躍するのは当たり前」かもしれないのですが、自分はキャラクター全員が主人公だと思っているので、全員まんべんなく活躍した方が良いなと。

横:うん。基本的に自分の漫画の中に出てくるキャラクターを、「漫画のキャラ」として捉えてないから、そのー…本当に現実にいたとしたらという感じで考えているので。だから、世間で言われているところの「モブキャラ」たちにだってそれぞれの人生があるし。だから、麹町君…麹町幸朔君だって、しっかり名前だってあるし。

小:そうですね。土屋君たちが3年生の時の1年生たちにもちゃんと名前ありましたもんね。

横:そうですよ。彼らにだって当たり前だけど名前があるし、それぞれの人生があるから。

小:モブA・B・Cじゃないと。

とにかく早く続きが読みたい

っていうか色々書きましたけどまだまだ語り足りなくって、こがねいろ・背すピンから地続きの世界観だったりとか細かいところにジョジョネタ入れてたりとかヤマトが波動砲だったりとか・・・
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ぼくらの素人お兄さん!

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この桜田創始
とにかくすごいんだよ本当に濃厚すぎて。
こんな第一話を見せられたら敵わんてマジで。
ちなみに横田先生はここから先の展開を全く考えていないらしいんですけど。

いや、もう関係ないでしょう。
これだけのものを見せられたらもう期待しかないです。
最高の新連載です。これからが超楽しみ。

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