阿部共実先生の新作「月曜日の友達」がまさかのド王道でしびれる

マンガの第一話を読んだ瞬間に有無を言わせずにただただ圧倒されるような作品に出会えることって稀です。
高校生の頃からずーっと読み続けているジャンプであっても、そこまでの作品はほぼないといっていいかもしれません。
おそらく唯一僕のヒーローアカデミアの第一話だけは、本誌から切り取って何度も何度も読み返した記憶があります。
あそこまで完成度の高い「第一話」にはまず簡単には出会えない。
でもそれと同等か、いやもしかしたらそれ以上なんだけど、確実に別次元の衝撃をもった第一話に出会ってしまいました。
先週のスピリッツで連載の始まった阿部共実先生の「月曜日の友達」です。

「暗いマンガの人でしょ?」って思っててごめんなさい

阿部共実先生といえば、2015年の「このマンガがすごい!オンナ編」で1位を勝ち取ったちーちゃんはちょっと足りないをはじめとして、心のあまり触ってほしくない部分をくすぐる作風が特徴的。
特に大好きが虫はタダシくんのを初めて読んだ時の感情は一言二言では表せません。
「大好きが~」はpixivにも公開されているので一応リンクを貼っておきますが、未読の人は少々の覚悟とともに読むべし。
単行本はこちら↓
大好きが虫はタダシくんの―阿部共実作品集 (少年チャンピオン・コミックス)
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ポップな画風でのコミカルな導入から、次第にイタいところを突いてくる展開に持っていく手腕は当代随一。
マンガとしての完成度は非常に高い作品が多いんです、が・・・
まあ端的に言って、阿部共実作品って苦手で。
どうしてもマンガには楽しさを求めてしまう性分なので、こう、読み終わった後に黒いものが溜まってしまう作品はなんとなく手が伸びにくいんです。
「月曜日の友達」も連載が始まるやいなや他のマンガ読みの方が絶賛しているのは知っていたんだけど、なんとなく距離を置いてしまっていまして。
それでもあまりにもタイムラインに絶賛の声が流れ続けており、公式サイトで一話が公開されたタイミングで「むむう気が乗らないがここまで言われるなら・・・」と軽い気持ちで(重い話がくるのを覚悟しながら)読んでみました。
おもてたんと違う!!!(思ってたのと違う)
これは、すごい!
マンガがすごいよ!!(語彙力)
そこにあったのは”ガールミーツボーイ”の青春譚、しかもキラッキラのやつでした。
阿部共実先生、まさかこの方向性でここまでの作品を描かれる方だとは!
二重の意味ですごい衝撃の第一話ですよこいつは。

圧倒的カメラワークで描かれる青春譚の美しさ

さて、前置きが長くなりました。
公式あらすじですドン。

月曜日。夜。学校。
中学1年生。ふたりだけの約束。

『このマンガがすごい!2015』(宝島社)オンナ編1位、第18回文化庁メディア芸術祭 マンガ部門 新人賞を受賞した名作『ちーちゃんはちょっと足りない』以来の長編最新作。
まだ中学生になりきれない幼さの残る女子・水谷は、変わり種のクラスメイト・月野と出会い…
あどけない中1の日常が、まばゆく動き出す。

こちらのリンクから第一話が読めます。
まずはいいから、このものすごい第一話を読むんだ!!
http://spi-net.jp/weekly/comic077.html
主人公の「水谷茜」は小学生時代のやんちゃなノリが抜けない入学したての中学一年生。
自分は全く興味ないのに周りのみんなは恋愛もののテレビの話題に夢中だったり、家でも学校でも”デキる”姉と常に比較されてしまったり。
周囲との温度差を感じてくすぶる主人公が、同じくはぐれた雰囲気の異性に惹かれていくというストーリーは、ボーイミーツガールものの王道路線。
「月曜日の友達」はちょっぴりひねってガールミーツボーイなのを除けば、今となってはもはや使い古されたネタです。
ところがどっこい、枯れたネタだというのにページをめくる手が止まらないことよ。
一話では水谷が「くすぶり」を感じるところから、なんだか変な同級生の月野に惹かれるまでの導入が描かれるわけですが、その展開と、なにより画面の美しさときたら!
そう、とにかく絵の力がすごいんです。
もともと人間関係や心情描写を描くことに関しては高い技術をお持ちなのは、これまでの作品からよーくわかっていたんですが、今作はさらに絵の力がすごいことになっているのを感じます。
もうひたすらに「カメラワーク」に圧倒される。
今回は抜き出しでコマを載せることもしていませんが、決してものぐさしているわけではなく(本当です)
ぜひともこの作品ばかりはすべての絵をちゃんとマンガで”観て”ほしい。
俯瞰でぼーっとした絵になる瞬間、画面がきらめく瞬間、窮屈なコマ割りになる瞬間、引きの絵からアップになる瞬間。
登場人物の心情に寄り添ったカメラワークで、静止画だというのに「映像作品」を観ているかのように錯覚するほどのダイナミックさ。
特に後半のとあるページで見開きになった瞬間からのカタルシスがすごいんですよ。
モノクロなのに強烈に色彩を感じるし、なんならあるはずのない音楽が聞こえてくるレベル(個人差があります)
今週のスピリッツ本誌では早速第二話が掲載されているようですが、ぬーん、頑なに単行本派でやってきたけどついにスピリッツも購読かなーこりゃ。

マンガ界の「君の名は。」的な

そこまで言ってもいいのかと思いつつ、でもそういう作品なんじゃないかと思います。
ボーイミーツガール(又はその逆)というだけでなく、阿部共実先生が満を持して王道真っ向勝負に挑んだ作品、という意味で、新海誠監督にとっての「君の名は。」にも通ずる部分があるのではないのかなと。
(以前「君の名は。」をこのブログでがっつり批判したのはひとまず置いておいてだ)
なんにせよまだ始まったばかりのこのマンガ。
間違いなく2017年の最大の注目作のひとつです。
果たしてどこへ向かうのか、しかと見届けていきたいと思います。

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