アリスと蔵六8巻感想「家族と人間の話」

放送中のアリスと蔵六のアニメがとてもとてもよいのです。
オリジナルの展開を加えながら丁寧に丁寧に物語を紡いでいるのが、原作ファンとして実にうれしい。
そしてなにより声優陣の演技が本当に素晴らしくって。
もう紗名と蔵六はあの声しか考えられなくなってしまったし、W大塚のベテラン同士による掛け合いは惚れ惚れするね。
なにより、大塚明夫ボイスがあそこまで蔵六にがっつりはまるとは、もう恐れ入った。
俺も蔵六に叱られたい。
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あの声で原作でもトップクラスに好きなこのシーンの台詞が聞けた回は、まあ見ながらボロボロ泣きましたとも。
しかもEDテーマはこれまた大好きなコトリンゴ姉さんが歌ってて(はやく音源がほしいんじゃ!)これがまた最高の曲なんですわ。
こちらのPVで流れてる曲です。

もうあれこれいろいろと当初以上に期待を超えてくれていて、今のところ大満足も大満足です。

さて、そんな感じでアニメも絶好調の折、単行本最新8巻が発売されました。
アリスと蔵六 8 (リュウコミックス)
今井哲也
徳間書店 (2017-05-13)
売り上げランキング: 411
表紙を開いてすぐのカラーページがまた素晴らしいんだ。
前回で男の子版紗名であり赤の王、「キング」との戦いはひとまず一段落し、この巻からまた新しい話になります。
が、とにかくこの8巻、内容がめちゃくちゃ濃かった!
時系列も入り乱れながらあちこちでいろんなことが起きたり新しい情報があったりで、でも一巻通してだと非常にするりと読めるという不思議。
これぞ構成の妙ですわ。
しかもこうしたあれこれも全体的に関連性のありそうな事柄ばかりなので、この章が一つのゴールに向かっているであろうことは明白。
そんなわけで色々あった8巻の中から気になった部分と、それらの関連性となりそうな部分をつついていきたいと思います。
ガンガンネタバレするのでこの先注意!

蔵六の過去、ノエミ、宇佐見さん、度し難い卿(?)

まずは蔵六の過去について。
7巻の終わり方の感じからこのまま少し過去編に入るのかなーなんて思ってましたけど、そこまで深堀せずに切り上げられちゃいましたね。
子供時代の蔵六となぜか同行している国際スパイ「リュック」は、おそらくこの物語でもかなりのキーとなるであろう「クロエ」の関係者である模様。
7~8巻で描かれたのは、二人が何者かに追われながらクロエのいるであろうパリを目指している道中のみでした。
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そもそもパリを目指してネパール、モロッコと旅をしているのはなぜなのか?
ここまで全く情報がないのですが、なんとなく蔵六がここから花屋をやるに至るまでが明かされるのはそう遠くない未来な気がします。
そして唐突に現れた褐色の天才少女「ノエミ・カノヴァス」
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可愛い
彼女の持っていた「計算機」だったり「ジャン=ポール伯父さん」なる存在だったり、クロエの店を探していたりともうとにかく情報量が多い!
「カノヴァス」とか「ジャン=ポール伯父さん」あたりからフランス人であろうことはわかりますが、日本語ペラペラだし。
いったい何者なんだ。可愛いからいいけど。
ただ、ここで彼女が登場したことも、やはり蔵六の過去と確実につながってくる気配があります。
あと小さなことですが負傷した一条さんの代わりとしてやってきた「宇佐見さん」
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こわいよ宇佐見さん
名前から安易な憶測になっちゃいますけど、ワンダーランドの「ウサギさん」と何か関係あるんでしょうかね?
ウサギさんもなんだか一条さんと仲良くなってましたし、ワンダーランドからも出てきっぱなしでしたしね。
あとカバー裏の度し難い卿描きおろしは、もう色んな意味でごちそうさまでした。
この作者お二人の関係はなんだかとても尊いものがある。
(お二人についてはこちら参照→「メイドインアビス」と「アリスと蔵六」の話

「人間とは何か」への答え

とまあ色々あった訳なんですけど、そんな中でも8巻のハイライトは間違いなく、終盤の蔵六と紗名の深夜の会話ですよ。
紗名は一度キングに殺されており、7巻でかっこよく復活するのですが、なぜ生き返ったのかその辺りはうやむやになっていました。
しかしこの8巻では、キングによって殺されてしまった人間はすべて、ワンダーランドが元の人間をコピーしてよみがえらせたということが明かされます。
紗名はこのことに悩んでしまうわけです。
紗名はワンダーランドそのものから生まれた子なので、自分が元の紗名とは違う、ワンダーランドが「コピーした」存在だということを身をもって理解しています。
じゃあそのコピーである自分は本当に蔵六の知っている紗名なのか?
本当に蔵六の子としてこの家にいていいのか?
これって2巻で紗名が「化け物だから助けてもらう必要はない」って感じたことのリフレインというか。
あのシーンは「人間とはなにか」みたいな話で、今回は「人間をコピーしたらそれは人間なのか」という話で。
じつにSF的、哲学的なテーマです。
ただ、蔵六はすでにこの悩みに対して明確に答えているわけで、それがこの記事冒頭でも紹介したセリフなんですよね。
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本当にこのセリフって、この作品においてとてつもなく大きな意味を持ってると思います。
この言葉を一度受け取っているからこそ、紗名はワンダーランドを取り巻くすべてを理解したうえで、蔵六ならどんな答えでも受け止めてくれると信じて、蔵六の「お前はニセモノなのか?」という問いにも安心して答えられるわけですよ。
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あーやっぱりこの一連の会話のシーンが本当に最高なんだ。
蔵六の人間力がSFを吹っ飛ばす瞬間がこのマンガの何よりの醍醐味。
ホント、あったけえよ・・・。
この話を読んだうえで8巻の表紙を見ると、またさらにグッとくるものがあります。

「クロエ」

結局のところ、このあと安心しきってしまった紗名の軽率な一言がきっかけで家出事件が起きてしまった、というのがこの巻のオチなんですが、そこもやはり「クロエ」につながっています。
このシリーズではクロエと蔵六の過去に少なからず触れていくことになりそうですね。
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最後のページの、おそらく未来の紗名によるモノローグなんですが、自分はなによりこの中で「私たち家族は」という言い方をしているのがなんだかとてもいいなと思ったのです。
なんていうか、もう言葉を重ねるのも無粋ですけど、最高じゃないですか。
元々大好きだったのに、巻を重ねるごとにどんどんと大切な作品になってきました。
次巻も楽しみです。

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