完結した「背すじをピン!と」が傑作なんじゃないかという話

ファンから惜しまれつつも完結した「背すじをピン!と」の最終巻が今月ついに発売されました。
背すじをピン!と~鹿高競技ダンス部へようこそ~ 10 (ジャンプコミックス)
横田 卓馬
集英社 (2017-04-04)
売り上げランキング: 1,741
連載中、全日本選手権の流れがもう最高潮に来ていて、ついにものすごく面白くなってきたぞ!というところで唐突にやってきた「二年後」というワード。
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このサブタイトルを見た瞬間の驚きたるや
え、まさか打ち切りなのか。
これは鍛えられたジャンプ読者なら感づいてしまう、打ち切りによくある展開に衝撃を受けたものです。
それゆえに連載中は「二年後」展開にあまり身を入れて読めませんでした。
そして先日、最終巻購入に合わせてもう一度1巻からすべて読み直しました(徹夜しました)
あーやっぱりめちゃくちゃ面白いなこのマンガは本当に!!
素晴らしい最終回じゃないか!
徹夜したのに読み終わってしばらくは興奮して眠れませんでしたとも。

登場人物を「描く」物語

突然ですが、この作品の登場人物は誰も少年マンガ的に何かのきっかけで能力が覚醒することはありません(少年マンガの心を持った登場人物は山ほど出てきますが
すべてそれまでの積み重ねの中で得たものとともに、目の前の困難を乗り越えていくんです。
自分自身と向き合った結果の場合もあれば、先輩や後輩、仲間がいたからこその経験もあります。
その決してありえなくはない、リアルな青春模様がとにかくアツい。
このマンガの主人公であるつっちーとそのペアであるわたりちゃんはまさにその筆頭。
二人は競技ダンスの選手としてなにも特別なことはありませんでした。
なんなら最初はまともに競技すらできず、わたりちゃんが自らに負けてしまうところから始まっています。
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初めての競技は涙から始まりました
そんなわたりちゃんを、つっちーがカップルのリーダーとして支えるところが、このカップルの本当の始まり。
そして二人それぞれの過去と向き合った文化祭を経て、次の競技会では「普通に踊れるようになる」という大進歩を遂げます。
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この場の王者である真澄くんがこんな風に彼らを評する、美しさ
自分を変えるために始めた競技ダンスから、「楽しむ競技ダンス」に変化・進化していく。
まさにレッツエンジョイ競技ダンス。
これだけでもう十分すぎるくらいのドラマじゃないですか。
でもそれだけでは終わりません。
この二人のダンスが、未来の絶対王者となる宮大工くんの成長を促し。
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のちの絶対王者、覚醒の瞬間
さらには二人で編み出した必殺技が窮地の部長ペアを助ける決定的なカギになっていく(そこには二年生ペアがいたからこその、鹿高競技ダンス部だからこその力が加わる)、この物語的快感!
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鹿高競技ダンス部だったからこその、その先
こうしたドラマが起きるまでに、なにもありえない奇跡なんて起きていないんです。
ただこれまで積み上げてきたものの中で、彼ら自身が経験してきたもので窮地を乗り越えていく。
少年誌的でありながらも決して御都合主義ではない物語の描かれ方が絶妙なんです。
つちわたの二人が競技ダンス部と出会うことができて、ここまで成長できたことが心から喜ばしく思える。
だから最終話で語られる三年生になったわたりちゃんの想いが、そして単行本で加筆されたエンドロールが、じんわりと心にしみるんです。
あんなん泣くわ。
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積み上げられたわたりちゃんの想い
もちろん二人以外の、二年生・三年生組やひらりんにも、多くのライバルたちにも大きなドラマがありました。
「気弱な主人公」「憧れの先輩」「可愛いヒロイン」「圧倒的な強敵」といったテンプレのようなキャラクターでは語れない、登場人物全員がちゃんと一人の人間たちとして描かれたからこその面白さ。
登場人物をしっかりと「描いた」見事な作品だったと思います。
これを傑作と呼ばずしてどうする。

レッツエンジョイ競技ダンス!

週刊連載ってどうしても「一話の中での盛り上がり=面白さ」な側面が強いので、こうしたある程度のスパンで積み上げられる面白さはやはり単行本でまとめて読んでこそ。
余談ですがワンピースなんかはまさにそういう作品ですよね。
あのマンガの物語としての重厚さはもう語るまでもないでしょう?
ワンピースが、尾田っちが、これまで何人分の人生を、世界を創り上げてきたことか。
とにかく、ジャンプ連載中に少しでも「背すじをピン!と」を面白いなと思ったことがあれば、ぜひともこの機会に10巻まとめて読んでみてほしいです。
最後まで読むことができて本当によかったと、心から思えるマンガです。
横田先生、素晴らしい作品を本当にありがとうございました。

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