デビュー15周年記念!ミステリー作家「米澤穂信」特集

普段は読書といえばもれなくマンガであるところのワタクシですが、たまには活字も読むことがあります。
それはもちろんマンガに比べれば本当にたまにくらいの感じですし、活字といってもラノベの割合のほうが多いくらいですが。
そんな自分でも、ハードカバーの単行本も迷わず購入しているのが、近年様々なミステリーのランキングでも常に上位入りするミステリー作家、米澤穂信です。
なんだか知った風に紹介していますが、自分は氷菓の京アニ制作によるアニメで知った口です。
ええ、そりゃミーハーなおたくですから。

オタクにこそ読んでほしいミステリー作家

当時氷菓のアニメが始まった時に、これはどうも面白そうだぞということで、氷菓に始まる「古典部シリーズ」をすべて読んだのが始まりでした。
あまりに面白くてアニメがまだ3話くらいの段階で全巻読み切っていたと思います。
ミステリー小説なのに原作を全部読んじゃってる状態でもアニメは十分楽しめたから、あのアニメ化はかなり大成功だったんじゃないですかね(謎の上から目線)
でもこの「オチが分かってても楽しめる」というのは、実は米澤作品の特徴の一つだと思っていまして。
たしかにまごうことなきミステリー小説ではあるんです。
ですが、全作品共通して言えるのは、「ミステリーの手法を使った上質な物語」であるという点です。
ミステリーというと当然何かしらの謎があり、探偵役がそれを解決してそこでカタルシス、というのが基本だと思います。
米澤作品の場合は、まず大きなストーリーありき、ドラマありきで、その舞台を盛り上げる演出としてのミステリーという傾向が強いように感じます。
そのため謎が解決しても一件落着とはならず、いや一件落着はするんですが、その先に待っているストーリーにこそ、真のカタルシスがあります。
そして往々にしてそのストーリーは、心にすっと刺さるものが多いんです。
だからこそ氷菓のアニメもオチが分かっていたうえで楽しめたんじゃないかと思います。そもそもが大変上質な原作だからこそというわけです。
あともう一つの特徴はその読みやすさ。
これは軽い文体ということではなく、むしろ難読漢字や文語もよく出てくる本格的な文章なんですが、その一方で決して固い文体にはならず、むしろすいすいと読めます。
何と表現していいのかわかりませんが、ちょっと大げさに言ってしまえば日本語そのものが美しい。
さらには登場人物たちの軽快な会話も相まって、文章そのものも楽しめるのが米澤作品の魅力です。
その一方で一筋縄ではいかない重厚なミステリーと物語性を持っているので、普段はマンガ・アニメくらいしか触れないという人でも、物語を楽しむことそのものが好きな人であれば、ぜひ読んでみてほしい作家さんです。
さあさあ、御託を並べてもしょうがない。
シリーズものからノンシリーズまで、オススメの作品をご紹介します。

古典部シリーズ

氷菓 (角川文庫)
氷菓 (角川文庫)

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米澤 穂信
KADOKAWA (2001-10-28)
売り上げランキング: 2,324
愚者のエンドロール (角川文庫)
米澤 穂信
角川書店(角川グループパブリッシング)
売り上げランキング: 4,945
クドリャフカの順番 (角川文庫)
米澤 穂信
角川書店(角川グループパブリッシング)
売り上げランキング: 4,321
遠まわりする雛 (角川文庫)
米澤 穂信
角川書店(角川グループパブリッシング) (2010-07-24)
売り上げランキング: 8,297
ふたりの距離の概算 (角川文庫)
米澤 穂信
角川書店(角川グループパブリッシング) (2012-06-22)
売り上げランキング: 2,819
まずはおなじみ、「氷菓」を第一作とする古典部シリーズです。
主人公の折木奉太郎を中心とする「古典部」が日常の謎を解決していくなかで、高校生活の青春の痛みを味わっていく、どこかほろ苦い味わいのシリーズです。
ヒロインの千反田えるの口癖「わたし、気になります」はアニメファンであればおなじみですね。
ちなみに自分は折木の親友、福部里志に結構共感する部分が多く、折木に対する複雑な感情を吐露するシーンで結構ちくりとやられました。
最近ついに新作が発売されましたね。

いまさら翼といわれても
米澤 穂信
KADOKAWA (2016-11-30)
売り上げランキング: 11
自分はまだ読むのはこれからですが、なんと早くも重版がかかったとのこと!

ううむ。早く読みたい。

小市民シリーズ

春期限定いちごタルト事件 (創元推理文庫)
米澤 穂信
東京創元社
売り上げランキング: 38,376
夏期限定トロピカルパフェ事件 (創元推理文庫)
米澤 穂信
東京創元社
売り上げランキング: 25,462
秋期限定栗きんとん事件〈上〉 (創元推理文庫)
米澤 穂信
東京創元社
売り上げランキング: 25,460
秋期限定栗きんとん事件 下 (創元推理文庫 M よ 1-6)
米澤 穂信
東京創元社
売り上げランキング: 62,187
古典部シリーズと並ぶ青春が痛いこのシリーズ。
でもタイトルの可愛さの通り、米澤作品の中では比較的軽い文体で読みやすく仕上がっています。
かつての苦い経験から慎ましく小市民として生きようとする小鳩くん小佐内さん。
不器用な少年少女の、やっぱり慎ましくはいられなくなってしまう日々を描きます。
もともと若い読者向けに刊行されたシリーズということもあって、他作品と比べても青春的な意味でニヤニヤできる部分が結構多いです。
「秋季限定栗きんとん事件」で変わらなかったようで何かが変わったようにも思える二人の関係性はどうなっていくのか。
最終巻といわれる「冬季限定」の発表が待ち遠しくも寂しくあります。

さよなら妖精

さよなら妖精【単行本新装版】
米澤 穂信
東京創元社
売り上げランキング: 7,349
ノンシリーズですが、重要な作品をここでひとつ。
米澤作品を代表する一冊といってもいい、これぞ青春ミステリーの決定版。
高校生たちを主人公にした青春物でありながら、実際の歴史的事件であるユーゴスラビア紛争を絡めることで絶妙なリアリティを持ち合わせた傑作です。
読み終わった後に残る爽快感と、言葉にできない鋭い痛み。
この読後感はなかなか他では味わえません。
「米澤穂信著作で何を読んだらいいか?」と問われれば、まずこれを勧めます。
というかこの作品が好みでなければ多分はまらないんじゃないかと思います。
そういう意味でもあらゆる米澤エッセンスが詰まってます。

ベルーフシリーズ

王とサーカス
王とサーカス

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東京創元社 (2015-07-29)
売り上げランキング: 3,205
真実の10メートル手前
真実の10メートル手前

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東京創元社 (2015-12-21)
売り上げランキング: 1,145
「さよなら妖精」から十数年後、同作の登場人物大刀洗万智を主人公にしたシリーズです。
昨年発表された「王とサーカス」はこれまた史実であるところのネパール王族殺人事件をベースにしたストーリーというのもあって、緊張感、臨場感が過去作に比べても高い印象。
雑誌記者として事件にかかわった万智は、謎を追いながら、記者を生業とすることの覚悟について問われ続けます。
これらが本編にちりばめられた謎とともに一気につながる解決篇のカタルシスと、そのあとに残る言い難い感情はさすがの米澤節。
「真実の10メートル手前」はその前日譚をまとめた短編集ですが、こちらも読みごたえ抜群。
その中でも特に「ナイフを失われた思い出の中に」は、「さよなら妖精」のファンであればかなりぐっときます。

儚い羊たちの祝宴

儚い羊たちの祝宴(新潮文庫)
新潮社 (2014-11-28)
売り上げランキング: 2,734
シリーズ化されていないものも多数ありますが、その中でもお気に入りをいくつか紹介。
こちらは他の作品と比べるとちょっぴり毛色の違う短編集。
ミステリーそのものの面白さというよりは、いわゆる「ホワイダニット」(Why done it = 動機)の奇妙さ、不可解さを取り扱った作品が並びます。
「世にも奇妙な物語」的と言ったらわかりやすいですかね。
米澤作品の読後の痛みある清涼感のうち、「痛み」の部分をぐっと濃縮して、ほんのりゴシックな味付けにした作品が並びます。

折れた竜骨

折れた竜骨 上 (創元推理文庫)
東京創元社 (2014-07-14)
売り上げランキング: 13,986
折れた竜骨 下 (創元推理文庫)
東京創元社 (2014-07-14)
売り上げランキング: 12,944
なんと舞台は中世ヨーロッパをもとにしたファンタジー世界。
剣も魔法もある世界観でもミステリーを繰り広げてしまうんですが、これがなんともうまい。
どんな世界観であっても、読者と筆者の間で設けられたルールによる知的遊戯であればそれがミステリーである、というのを見事にやってのけた作品なんじゃないでしょうか。
傑作。

ボトルネック

ボトルネック(新潮文庫)
新潮社 (2014-11-28)
売り上げランキング: 7,593
こちらはさらにSF!
とあるきっかけでパラレルワールドに迷い込んだ主人公は、今までとちょっとずつ違う世界からとある真実に至る・・・というようなストーリーなのですが。
もはやSFであることなんてのが単なる舞台装置でしかないくらい、辛く、重い痛みを覚えた作品です。
これ読んだ後はしばらく呆然としてしまった。
ちなみに「ボトルネック」とは、システム業界ではわりと使われる言葉なんですが、性能効率の障害となっている部分、のような意味です。
このタイトルが意味するところとは・・・ぜひ読んで確かめてみてください。

まだまだいっぱいあるけれど

犬はどこだとかインシテミルとか追想五断章とかリカーシブルとか満願とか…
まだまだ紹介しきれないのですがこの調子だと全作品網羅しそうなのでこのくらいにしておきます(といいつつ多分出版されているシリーズと作品名だけなら全部上がってます)
そんなわけでいかがだったでしょうか?
もともと「青春ミステリー」の旗手というような紹介のされることの多い著者ですが、本格ミステリーに挑んだ「インシテミル」以降はかなり作風の幅を広げています。
しかしながらその物語としての完成度は変わらず一級品。
マンガやアニメでもストーリーや演出に重きを置いて楽しむような方であれば、まずはミステリー小説というジャンルであることを一度忘れて読んでみてください。
おススメです。

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